私は音楽ドキュメンタリーの類の映像は、ずっと敬遠してきた。それは、音楽ドキュメンタリーとは名ばかりで、主役であるべき音楽を脇役にした作品が多かったからである。
そんな私の価値観を根底から覆してくれたのが、この作品なのだ。華美な背景は無論のこと、無駄なナレーションなどは微塵も無く、音楽を聴いて欲しいという心情がひしひしと伝わってくる。
中でも、ベボ・バルデスとイスラエル・ロペスが共演したこのシーンもいいが、
何といっても、5年ぶりに再会したベボとチューチョ・バルデスの父子のDuoのシーンが印象深い。息子に向ける父親の眼差しが心に染みる。
私が叶える術(すべ)を無くしてしまった父親とのふれあいを目にするたび、羨ましさと淋しさが入り混じった思いが湧きあがってくる映像である。
紹介はするが、お勧めすることは憚(はばか)ってきた私であるが、この作品は掛け値なしでお勧めする。
廃盤になる前に手に入れて損は無い一枚だと思う。